みむコラム

禁断の「まった」の効能について

こんにちは!三村智保です。

 

いったん石を置いた石を、はがして打ち直そうとする事を「まった」と言いまして、ルールで禁じられています。

これは「助言」と共に、囲碁での代表的タブーです。

 

間違えたと思ったら打ち直す。これが出来るなら誰だってそうしたい。

 

学校のテストを提出してから、間違いに気がついた。「返して、書き直すから。」

そうは行きません。

 

ゆうべはつい飲みすぎて、夜食まで食べて、寝起き最悪。

人生、まったしたい時はありますよね…

 

囲碁は一度置いた石が動かせない。失敗した形が、ずっと盤上にそのまま残る。

自分が打った手のせいで大きな石を取られたのを、つらい気持ちでじっと見つめるのです。

 

そうして、一手に真剣に向き合う事を覚えていきます。

でも「のどもと過ぎれば熱さ忘れる」同じ失敗を何度もしちゃうのですが…

 

「まった」はルールで禁止されていますから、道場でも、囲碁大会などでも、する子はいません。

 

でも(ここだけの話)大人は結構やっています(笑)。道場の隣の囲碁サロン天元でも、時たま見かけます。

自分でお金を払って、趣味で楽しく打つ場所ですから、そこまで厳しくなくても良いのではないかと思っています。

 

道場は正式な囲碁を学ぶ所ですから、子供たちの教育のためにも、ルールや礼儀に厳しくするのが当然です。

 

前置きが長くなってしまいましたが、この違反行為が、上達方法としては中々に有効なんです。

 

1局打ち終えた生徒に私が指導する際に、手順を覚えていて再現できる子は、五段以下なら少ないです。

強い相手が覚えていて並べてくれたり、棋譜を付けながら打ったり、色々方法はあっても

 

肝心の本人に、その手を打った記憶がもう無いのですね。

自分の対局を記憶出来ないうちは、振り返り指導は意味をもちません。

 

間違えたその手を、打ったその場で指摘すれば伝える事ができますが、真剣勝負に水をさす事になって、それもマイナスです。

 

「まった練習法」はPCソフトを使うと良いです。

最近は囲碁AIが進歩して、パソコンでもスマホでも良い対局プログラムが市販されています。

 

大抵のソフトには「まった」機能と「ヒント」機能がついています。

 

ヒントは「助言」にあたり、囲碁の2大悪がそろいましたが、練習には、これが最高です。

 

打ってみて結果が悪かったら、手を戻す。別の手を探す。AIオススメの手を見てみる。機械相手なら誰かに迷惑をかけることもなく、遠慮は要りません。

 

遊び感覚の中で、自分のミスを自覚し、より良い手を覚える事ができる。

機械なのでその意味までは説明してはくれませんが、実際に自分の勝ち負けが掛かった対局の1手として採用することで、身につき易いのではないかと思っています。

 

もちろん、普段人と打つ時は待ったも助言も無し。ここさえ押さえておけばオススメの練習法です。私の息子たちも皆、この方法で楽しく自習しています。

-みむコラム

© 2024 市川こども囲碁道場