こんにちは三村智保です。
今日は「囲碁で国語力がわかる」というお話をします。
これはずっと前に、私と同じく囲碁教室をしているお知り合いに言われて気がついたことです。
結論を先に言ってしまいますと
棋譜の暗記が得意な子は国語が得意
という傾向がありそうだと言うことです。
「棋譜の暗記」というのは、囲碁の基本練習法である「棋譜並べ」に関わる上級スキルなのですが
まず「棋譜並べ」を知らない方のために説明しておきますと
棋譜(楽譜の囲碁バージョン)に書かれている数字のとおりに碁盤に石を置いて行く作業です。
囲碁の強さに関係なく行える練習です。
ある程度の集中力さえあれば、小さい子でも初心者でも出来る。
なんならルールを知らない方でも行えます。
そして同じ棋譜を繰り返し並べたりするのですが
可能な子には暗譜、つまり30手とか、50手とか(あるいはもっと)暗記して、本を見ずに並べる事を行います。
昔からある重要な練習ですが、こちらは初心者で出来る子は滅多にいません。
棋力が高い子、囲碁が上手な子ほど出来ます。
もうひとつ
自分の対局の内容を思い出して並べる
「並べ返し」という、暗譜と同じ能力を使うハイレベルな練習法があります。
普通は強い人ほど、自分が打った碁の内容を思い出せて並べられます。
これが出来ると振り返り学習が出来るようになりますので、かなりの重要スキルです。
でも五段の生徒でも出来ない子は多いです。
初段の子なら3手くらいしか思い出せないのも普通です。
ただし、棋力がまだ低いのに暗譜や並べ替えしが出来る子が、時々いるのです。
その暗譜が出来る子は、国語が得意な子だと前述の知人に言われました。
それで気をつけて見てみたら、たしかに頷ける点が多かったのです。
国語力といいますか、会話力といいますか。
・しゃべる時に話の組み立てがしっかりしている。
・大人が話しかけた時に伝わりが良い(話を理解できる)。
・その場において求められている事を理解している(空気がよめる)。
という感じの能力です。
どうやら囲碁の手順を覚えることは、話の流れ、前後のつながりを把握することに似ているのかも知れません。
ちなみに私は、1回並べただけで150手くらいは記憶できます。
自分の対局の手順は何年か経ったあとでも思い出せます。
でもこれは仕事として毎日囲碁を打ってるからなので、特殊能力では無く慣れの問題です。
プロでも覚えられない人も一部いまして(私の家にも1名(笑))
こういう人はストーリーを意識せずに囲碁を打っていて、局面ごとに絶対音感の様に判断しているのかも知れません。
ということで、かなり上達しても囲碁の手順を記憶できない子は
国語が苦手なタイプなのだと、密かに思っているのです。
もちろんそう言う子は他のあるものが優れてたりするのですが、そちらについてはまた別の機会に話しますね。
ということであくまでも仮説ではありますが、私が15年子供を指導した経験では
囲碁の手順を覚える能力は、国語力に関係がありそうに思える。というお話でした。
運動神経の良い子がサッカーを習えば、他の子より早く上手くなる。
運動神経が悪い子がサッカーを習えば、他の子より下手だとしてもその子の運動神経が上がる。
国語が得意な子が棋譜の暗記をすれば、他の子より早く覚えられる。
国語が苦手な子が棋譜の暗記をすれば、他の子より下手だとしても、その子の国語力があがる。
こういう事だと良いな、と期待しています。皆さんはどう思われますか?