囲碁が強くなる子供は、他の子と比べ何が優れているのでしょうか。
・地頭が良いこと(能力)。
・負けず嫌いであること(勝負マインド)。
・対局や練習をする機会が多い(環境)。
これらの事がよく言われますよね。囲碁に限らずスポーツ等でも共通することかと思いますが
私が思う、もう1つの気になる要素があります。
それが「良心」です。
たとえば、負けた対局の結果をズルして、対局カードに勝ちと書いてしまう子がいます。
こっそりトイレで書いてたりします。
対局のトラブルが多い子もいます。
「この石の位置がちがう。こっちにあったはずだ。」
大会でも道場でも、大人が全ての対局手順をチェックすることは出来ません。
その子が言い張れば処置なしです。
このように、負けを避けるために色々なことをする子は、負けず嫌いで知恵もある子なのですが
これが癖になると、上達は望めなくなります。
道場で対局の組み合わせをするときに、先生に言われても「いやだ、あの子と打ちたい」と言う子がいます。
強い子と打つと負けるから、弱い子と打ちたい。ということです。もちろん自然な感情ですが
そこで「そうじゃないよ、強い子と打たなくちゃ上達しないんだよ。弱い者いじめで星を稼いでばかりいたら、伸びなくなるよ。」
と話した時に、伝わる子と伝わらない子がいます。
良心がある子は、直ぐわかります。ここにも生まれつきの差がありそうです。
それを持ってる子は伸びやすいです。
自分を律することや、自己責任の考え方は、学びやすさに直結するのです。
私は道場の生徒たちに、良心を教えたいと思っています。
とても時間がかかる事だと思いますし、私自身がただの未熟な人間ですから難しいことです。
私がプロ棋士として試合で負ける時、どうしても勝ちたい大勝負に敗れた時は、本当につらくて悲しいです。40才になっても50才になっても変わりません。
「あの手を間違えなければ」「相手があんな手を打たなければ」
無念さがいつまでも浮かんで消えません。
きっと道場のみんなより、負けたときの悔しさは強いと思います。でもそういう時に何より大事なのは
「自分が間違えたから負けただけ。」
「自分の力が足りないから負けただけ。」
「努力が足りなかったから負けただけ。」
この絶対の事実を認めることです。他の何のせいにも出来ません。
良心が育つと、こういう話が分かる様になるのだと思います。
日本人は世界の中でも「良心」を多く持つ民族では無いでしょうか。
変化の激しいこれからの時代、求められる「勝ち抜く強さ」と共に、囲碁の上達に欠かせないこの「良心」も大事な武器になる気がします。
正しい心、良心を子供たちに、少しでも伝えていけたらと思っています。